CONTE

「COFFEE STAND UP!!!!!!!!」トークショー

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「僕たちはこんなふうにコーヒーから伝えたいことがある」

CONTEでは、オープン当初から、COFFEE potohotoの焙煎家・山田哲史さんによる手回し焙煎の店内イベントを行っています。焙煎過程のコーヒーの香ばしさと焙煎する時の音の心地よさをお客さんに感じてもらいながら、焙煎し立ての豆をその場で砕き、抽出して、飲んでいただこうとはじめたその店内焙煎イベントですが、先日、あらたに「COFFEE STAND UP!!!!!!!!!!!」というタイトルで開催しました。
エチオピアの豆が焙煎されていく時の惚れ惚れするような甘く美しい香りとともに、2種類のエスプレッソマシーン、日本では珍しい手押しのエスプレッソ、サイフォン、ドリップ、エアロプレスと、店内一面にズラリと並んだコーヒーの器具とともにひたすらコーヒーと向き合う抽出士たち。その渾身の一杯をじっくり楽しんでもらうため、この日は2部構成とし、第1部はCONTEのランチとコーヒーとの掛け合わせを、そして、第2部ではBEAN to BARのチョコレート店「Timeless Chocolate」のオーナーの林正幸さんをゲストに迎え、コーヒーとのマリアージュを提案したチョコレートを味わっていただきました。あいにくの悪天候ではありましたが、抽出によっての味わいの違いや、食との組み合わせを楽しむお客様に多く来ていただき、一日かけて賑わうイベントとなりました。
あらゆる場所で、いろいろな形で、誰もが楽しめるコーヒーだからこそ、私たちは、もっとコーヒーを知ってもらい、もっと自由に味わってほしいと願っています。
そんな想いも含め、イベント最後には、COFFEE potohotoの山田哲史さん、Timeless Chocolateの林正幸さん、また、この日、抽出士として参加したメンバーたちとともにトークショーを行いました。
その内容をお送りします。

野外でコーヒーを飲む楽しみから生まれた
POTOHOTO COFFEE FACTORY

ーーまずは今日のイベントの主旨から、トークショーをスタートしましょうか。

山田 今日のイベントは、自分たちにとってとても大きなメッセージがあるんです。僕らはPOTOHOTO COFFEE FACTORYというコーヒーのチームをつくっているのですが、そのきっかけになったのが、5年前にBACARの仲村大輔さんの誘いで、CONTEの五十嵐亮さんと一緒に野外音楽フェスにコーヒーの出店したことでした。

ーー2012年10月に屋我地島で2日間にわたり行われた「ZETTAI- MU」ですね。

山田 その時、野外でコーヒー豆を焙煎したのですが、その時の反響がすごくよかったんです。キャンプサイトもあったので、朝一で焙煎して、その焙煎の煙がテントのところまでいって、みんなを燻して起こそうという発想でやったんですよ。自分たちが一番大切にしているのは、自分たちが面白がること。実際、僕らが一番ワクワクしていました。そうやって焙煎していると、テントで寝ていた人たちがどんどん起きてくるんです。それで朝早くから行列になった。あの感覚が忘れられないんです。みんなすごく喜んでくれて、野外で飲むコーヒーってすごく美味しいんだということをあらためて実感したんですね。

ーー野外の空気、みんなのテンションも含めて、コーヒーを飲む喜びを分かち合ったんですね。

山田 そうなんです。元を辿れば、コーヒーの原産地であるエチオピアでは、お客様をもてなす時の「コーヒーセレモニー」というのがあって、その場で焙煎するんですよ。その香りとか全部を含めて体験してもらうというのがセレモニーなんです。外でやるというのはそれにも繋がるなと思ったんです。それを僕たちもやっていこうと思ったのが、POTOHOTO COFFEEE FACTORYの始まりでした。

ーーPOTOHOTO COFFEEE FACTORYとしての最初の出店は2014年夏のOKINAWA FOOD FLEAになりますよね。

山田 そうですね。OKINAWA FOOD FLEAの第1回目、第2回目は僕と亮さんと、もうひとりアシスタントがついて3人でやりました。その時は僕が焙煎して、亮さんがドリップで淹れるという体制だったのですが、もっといろんな人が入って、いろんな淹れ方があったら面白いと思って、第3回目から少しずつ人を増やしていったんです。

ーーCONTEの五十嵐に加え、MAHOU COFFEEの山㟢明央さん、カフェクレーポの貞野政人さん、SOUPCON beach side cafeの高柳健人さんなどが最初のメンバーでした。そういう意味では普段はそれぞれの店でそれぞれのこだわりや想いをもって仕事をしている人たちとコーヒーという名の元に一緒に繋がることで、さらにコーヒーの魅力を伝えられるという、とても面白いプロジェクトでしたよね。

山田 僕自身、このPOTOHOTO COFFEE FACTORYをやることで本当にたくさんの方々と広がりが生まれたんです。それによってコーヒーを外で出店することも多くなったんですね。POTOHOTO COFFEE FACTORYとしては、その後、新しいメンバーを加えながら、FOOD FLEAには8回出店しました。だけど、この3月、野外でコーヒー豆を挽くことが、沖縄の保健所の規定で難しいということがわかったんです。これについてはいろいろ調べて、県によって様々な解釈や基準があるということもわかりました。でも、コーヒー豆をその場で挽くことができないとなると、事前に挽いて持って行くことになるのですが、そうすると、かなり風味が落ちてしまうんですよね。だけど、僕たちPOTOHOTO COFFEE FACTORは本物を追求していきたい気持ちが大きいので、メンバーで集まって話し合って、野外のイベントに出るのは控えようということになったんです。

ーーだけど実際には、ここ数年、沖縄ではコーヒーのカルチャーが盛り上がっています。

山田 それは、僕らのように、外でパフォーマンスをすることで、それを見た若い人たちもコーヒーの魅力をより感じてもらえていたからだと思うし、いま、世界的にもコーヒーが流行っていることもあって、若者の間でコーヒー熱が強くなっていることも大きいです。そういう流れを止めなくないと思ったんですね。それが今回のイベントに繋がりました。

ーーつまり、「外」ではなくて「中」でやろうということになったわけですね。CONTEでは、オープン当初からCOFFEE potohotoと一緒に店内焙煎のイベントをやっていたので、店内焙煎という形であればやれるじゃないかという話をしました。それでPOTOHOTO COFFEE FACTORYのように、いろんな抽出士に淹れてもらう形で行いましたが、今日のイベントはどうでした?

山田 天気が悪かったのですが、それでもたくさんのお客さんに来ていただきましたし、なによりこういうふうにメンバーを揃えてできるというのはやはり楽しかったです。客観的に見ても、コーヒー好きだったら、こうしていろんな抽出士が並んでいたらすごいワクワクすると思うんですよ。他ではなかなか見たことない風景ですからね。自分たちは見たことないことをやりたいと思っているから、今日はすごくいいイベントになったと思いますね。

外でできないからできない、というのではなく、
その広がりを閉ざさないようにしたかった

ーー今日は「若手に淹れてもらおう」というのがもうひとつのテーマでもありましたが、今日のメンバーの紹介をお願いします。

山田 まずは、人力で抽出するエスプレッソを出してくれた眞喜志泰斗くん。彼は普段は畑人(ハルサー)をやっています。

ーー眞喜志くん、これはどんなマシーンなのですか?

眞喜志 イギリスのキッチン家具メーカーでつくられているエスプレッソマシーン、ROKRRESSOです。手に入れたきっかけは、出ようと思ったイベントに電気が使えないということで電気を使わないエスプレッソマシーンはないかなということで、探して出合いました。

山田 彼にはさらにビジョンがあって、将来的に沖縄でコーヒーを栽培したいという思いがあるんです。そのためには、もっとコーヒーのことを知りたいということで、いまこれをやっています。この人力のエスプレッソに関しては、海外から技術的に問い合わせが入るくらい、技術力の持ち主です。

眞喜志 コーヒーのことを知りたいと思って自分でも淹れはじめたのですが、教科書みたいなのは読まないですね。自分で淹れながら、あの人のこういうのが美味しかったということをイメージしながらエスプレッソをつくっていて、そうやってずっとイメージしながらやっていったら、今日ここに立っているという感じです。

ーー眞喜志くんは普段は農業に携わっているわけですから、イベント出店だけでコーヒーを出しているんですよね。だけど、野外でイベント出店ができないとなると、そのステージが失われる。

山田 そうなんです。野外でグラインドできないとなると、若い人たちのステージがなくなってしまうのではないかという危惧があって、外でできないからできない、というのではなく、その広がりを閉ざさないようにしたいと思ったんですよね。それでこの若手3人に出てもらったんです。

ーー続いて、その隣が安里成人くん。

山田 安里はCOFFEE potohotoのスタッフで、いま、3年目ですが、焙煎、エスプレッソ、ドリップと幅広くやれます。

ーー今日はエスプレッソを使ったドリンクを提供してくれました。

安里 僕は日頃、コーヒーの面白さや楽しさをどうやったら伝えられるかを考えています。今回のイベントで使用しているエチオピアアダミはベリーのような風味が特長的な豆です。その風味を活かすようにストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリーの4種類のベリーを混ぜて自家製のシロップを作りました。そのシロップ、エチオピアのエスプレッソをベースに、食後のデザート感覚で飲める「エチオピアベリーミルク」と、このじめっとした時期をさっぱりさせる炭酸水で割った「エチオピアベリーソーダ」を今日はご提供したのですが、この2つのアレンジコーヒーを通して、こういうコーヒーの楽しみ方もあるんだという、コーヒーの持つ可能性の様々な形を感じてもらえると嬉しいです。

山田 そして、もう一人の若手の参加者の今村孟寛くんは、ラテアートの腕が素晴らしくて、普通のバリスタよりもうまいです。彼と安里と浦添にある沖縄セラードコーヒーの若手・大城義貴くんで、よくコーヒーの勉強会を開いていたりするんです。そういう勉強会によって沖縄のコーヒーのクオリティを底上げしています。

今村 ここ数年、OKINAWA FOOD FLEAでもそうですし、いろんなところでコーヒーフェスもあって、沖縄はロースターさんがどんどん増えています。私はいまのロースターさんの次の世代としてコーヒーに関わっていきたいなと思って、勉強会をしています。

山田 彼も普段の仕事はコーヒー屋ではなく、サラリーマンなんですよ。

今村 普段はメーカーの営業をしているんですけど、前からコーヒーには興味があって、好きだったんですけど、コーヒーの熱にあてられたのは、沖縄に来てからです。哲さんをはじめ、いろんな抽出士の方がいらっしゃって、面白い人がいっぱいて、そういう人たちとの出会いの中で、やりたいことが生まれてきて、道具買ったりマシン買ったりして、今日参加させていただくことになりました。

山田 彼らはコーヒーを楽しんでいるし、集まって研究してシェアしていくわけだから、そうするとレベルも上がりますよね。それによってまたいいものが提供されることで、それを飲む人たちも影響受けて、よりいい循環が生まれるんです。前半、そういう若手3人が抽出し、後半、CONTEの亮さんがドリップで、そして最後にカフェクレーポの貞野くんが参加してくれました。

ーー貞野くんは、FOOD FLEAの第3回目から出ているCOFFEE FACTORYメンバーの主要人物の一人ですね。

山田 彼が使っているのはエアロプレスという器具です。彼のエアロプレスは日本でもトップクラスの腕だと思います。そういう人が沖縄にいるんですよね。だから外から見ると、沖縄はレベルが高いという印象になってきているように思います。彼らに共通してあるのは、誰かの模倣ではなく、自分たちで考えてつくりあげていっているということ。そういう人たちが入り乱れている感じがあって、それが沖縄のコーヒーシーンとして面白いところじゃないかなと思います。でもそれはコーヒーだけに限らず、飲食全般やものづくりにも言えることなんです。というのは、新しいことをチャレンジすることに関して、沖縄の人たちはものすごく許容があるんですよ。応援してくれる。それが素晴らしいなと思っていて、新しいことをすることで、どんどん応援してくれるので、どんどん人が伸びてくる。だけど、今回、グラインドできないということがあって、せっかくの状況が止まってしまうのは本意ではない。

ーー野外でコーヒーを提供する、コーヒーを味わう、その喜びを私たちは、様々なイベントに出店することで、より実感しています。その様子を見て、若い人たちがまた影響受けて、自分たちで勉強会を開いたりしている。その流れは止めたくはないですよね。

山田 そうなんです。保健所に抗議するということではなく、僕らは僕らでできることをやっていきたいんですよ。コーヒーからメッセージをつくるというか、いいものを提供することによってメッセージを発信していきたいなと思っています。実際に栄町市場に来てくれる那覇市議員の人で、コーヒーのグラインドについても意識的に改善していこうと動いてくれている人もいらっしゃるんです。だから僕らはコーヒーを淹れるということに力を入れていくことで、いい動きになればいいなと思っていますね。

自分で体験して会得したものが一番芯の部分になる

ーーそういう意味で、「横の繋がり」は大事です。このイベントもいろんな人が関わってくれるイベントにしたいというのがありました。その一人として、北谷に店をかまえるTimeless Chocolateの林さんにも参加していただいたのですが、少し、林さんの話も聞いてみましょうか。林さんはもともと海外でコーヒーを学んでいたそうですね。

林 ちょうどサードウェイブが10年くらい前にアメリカ・サンフランシスコで起きて、その時に、いままでの概念とは違うアプローチのコーヒーがあるんだなということを知ったんです。そこから派生して、どんどん探求していくと「原料ってなんだろう」というのが気になってきて、コーヒーを求めてオーストラリアのメルボルンという町に行ったんです。メルボルンはアメリカというよりはヨーロッパの文化が強いんですが、そこでエスプレッソに砂糖を入れる時の、砂糖によってエスプレッソのフルーツ感を引き出したりとか、コクを引き出したりとか、いろんな効果が生まれることの面白さを知りました。それもあって、砂糖のことが気になり始めて、そういう時に沖縄に来たんです。

ーー最初、栄町市場の中に住んでいたそうですね。

林 そうなんです。そこでCOFFEE potohotoにも出会いました。もともとは僕もコーヒーをやろうと思って沖縄に来たのですが、その時、哲さんのコーヒーを飲んで、コーヒーはやめようと思ったんです。自分がどれだけ世界を見てようが何しようが、こんな変態な人に勝てるわけないって(笑)。こんな人がいるんだったら、こういう人たちの意見を大切にしながら、サトウキビで何ができるかを探求しようと思ったんです。

ーーそれでチョコレートを?

林 アメリカにいた時に、BEAN TO BARを自分で体験したことがあったので、それを沖縄でやってみようと思ったのが最初でした。でもこの高温多湿の沖縄でチョコレートをつくるのは難しいんです。だけど、逆手にとると、この地にはサトウキビがある。みんなはカカオを探しに世界中に行くけれど、僕は逆にサトウキビを求めて沖縄にきたので、それを追求していこうと思っています。

ーー黒糖は島によっても味わいが違うんですよね。

林 違いますね。塩味があったり、フルーツ感があったり。また、石灰とか農薬などの使用量によっても味が変わります。同じコーヒー豆をどう焙煎するか、その豆をどういう器具で抽出するかで違うものになるように、どういうキビを刈って、どの部分を絞って、それをどういうふうに煮詰めて、どういうふうな形にするかで味が変わってくるんです。
今回、マニアックな方々、僕は「変態」と呼んでいるんですけど(笑)、ここまでコーヒーが好きな方々が集まっているのも珍しいので、それに対するお客様たちがどういった反応をして、どんな新しい発見をしていくか、楽しみなんですよね。哲さんがおっしゃっていたように、保健所やどこかの国のルールがダメだっていう、それで諦めたりするのではなくて、違うアプローチを続けていくことで、また新しいものが生まれると思っています。今までの既存のルール、原料を変えたり、こうして話す場を設けてもらって、いろんな人たちがその意味を共感してもらったりしながら、たくさんの人たちでシェアしていくと、面白いことになっていくと思うんですよね。

山田 逆手にとるというのは大事だと思います。いま与えられた環境があったとして、これができないからできない、じゃなくて、それができないんだったら、他のことを探ってみようと探ってみる。それによって面白いことが起きるし、自分たちにとってはすごく有利なことが出てくると思う。発想を少し変えてみることが大事だと思います。面白い人たちが沖縄にいますからね。そういう人たちが繋がっていけばと思うんです。

林 実際、自分の経験やガイダンス、自分の周りの人たちを信じていくと、本当にいいものができたり、それを続けることで、また人に出会うこともできますからね。
僕も哲さんにはすごく刺激を受けていて、哲さんとはよく豆の話をするんですが、哲さんはブレないけれど、変わり続けるんですよね。「バイオリズムを感じながら焙煎したい」と言っていたり、最近の哲さんは「薪風呂に入れた気持ちで焙煎してる」と言っていて、それにもすごく衝撃を受けました。その話を聞いた時に、カカオを焙煎している身として、対流させるものではなくて、石窯でカカオを焼いたらまた違うものができるんじゃないかと思ったんです。ひとつの原料だけでもいろんな人の探求があると、違うアプローチで新しいものを組み上げていくことができます。それは主観でもなく、流行でもなく、自分たちが求める原料の本質にぶちあたると思うんです。それをみんなでディスカッションしながら、いまのものにアップデートする。それが大事だと思います。
みんなが、マニアックに探求していることって、見てられるんですよね。それを見て、すごいなと思って、体感して、それが自分の仕事だったら何に活かせるかというのを考える。それが実際にできるのも沖縄だと思うんですよ。それはサイズ感だったり、みんなが繋がろうという文化が強いのが沖縄の利点でもあると思うので。

山田 「体感する」ということですよね。知識は本当に大事なんですけど、知識だけでやっただけではどうにもならないんですよ。やって、知識を得て、やって、知識を得て、ということで、体感して、自分の本来のものになっていくので。

林 インターネットが流行って、SNSが流行って、だけど、みんな情報を見抜く目が本当にあるかというのが心配ですよね。新しくコーヒーを学びたい、チョコレートを学びたいと、うちにも若い子が来るんです。とても熱心で、研究会とかも行くんですけど、やっぱり実体験ができない環境が多いんですよね。たとえばコーヒーの器具って高いじゃないですか。チョコレートもあるものでつくろうと思ったらできるんですけど、それなりの道具が必要になってしまう。それをオープンにする状態がこういう場だったりすると思います。
僕もびっくりしたんですけど、眞喜志くんの道具は、電池が入っているのがスケールしかない。でも人力で抽出をかけてあげることでエスプレッソができる。インターネットばかり見すぎて情報過多になってしまうと、専門用語は知っているけれど体験したことがない、という人は多いと思います。そういう知識を持つことは大事なんですけど、体感する場所がどんどん必要になってくる。哲さんが言うように、オープンな状態をつくった時に、若い子たちが実際に機材を触ってみて、先輩たちにどうやってこれを手に入れたのかとか、実際に訊いたりできるのはいいですよね。

山田 知識は参考にするもので、自分で体験して会得したものが一番芯の部分だと思います。

林 レシピ的なものをつくれるということはないですからね。

「ルールがない」のが、楽しみの探求になる

ーー今回、「COFFEE STAND UP!!!!!!!」というイベントタイトルにしたのですが、「コーヒースタンド」と「立ち上がれ」のSTAND UPを掛けた言葉なんですよね。

山田 亮さんが「思いついた!」と言ってつけたタイトルなんですが、その名の通り、規制があった中で、自分たちが止まるのではなくて進めるよっていうことを示したいなと思っていたので、ぴったりのタイトルだと思っています。決して止まる必要ないですからね。それをみんなに今回やることで伝えたいと思いました。

林 いま、こっち側に立っている方だけじゃなくて、次世代を担う方々のいま来ていると思うので、そういう方々が体験して会得して、自分たちも何かしたいという気持ちが発展していくと大きなイベントになると思うし、そこには名前のないコーヒー屋が出てもいいですよね。そういう人たちが出てくると、今度は僕や哲さんも刺激を受けると思います。「ルールがない」というのが楽しみの探求だと思うので、みんなでこういうディスカッションができる場があるのはとてもいいなと思いました。

山田 あ、それともう一人ご紹介させてほしいのですが、POTOHOTO COFFEE FACTORYのメンバーのMAHOU COFFEEの山㟢明央くんが来てくれています。彼は抽出するということ一点に絞って、こだわってコーヒーに向き合っている人です。彼にも一言いただきたいですね。

山㟢 那覇の壺屋でMAHOU COFFEEという店をやっています。
コーヒーに限らず、食関係やものづくり全般に言えることだと思うのですが、既成概念やいままで自分が見てきたもの、見てきたと思っているもの、溢れているネットの中の情報など、そういうのを抜きにして、個人の時代になったらいいなと思っています。特別なことをしてるしてないとか関係なくて、自分の舌というのは自分にしか持ってないものなので、自分で自分に期待するというか、もっともっと美味しいコーヒーをみなさんが期待してくれたら、世界のどこかでもっともっと美味しいコーヒーが生まれると思うし、そういう壮大かなと思うかもしれないけれど、そういう小さな思いが大きな思いに繋がっていくと思うんです。
こういうことに垣根はないと思っていて、作り手だからとか作り手じゃないからとか関係なくて、飲んでもらう人、食べてもらう人がいて成り立っているものだし、垣根がないことが面白いと思うので、僕らも楽しんでいきたいと思います。僕たちにももっと期待してほしいし、僕たちもお客さんやまだ見ぬお客さんに期待しています。「もっともっと美味しいコーヒーを出してこい」と言ってくれたら、もっと美味しいものをみんなつくれると思うんです。これからもよろしくお願いします。みんなで楽しんでいきましょう。

ーー「COFFEE STAND UP!!!!!!!」はこれからも続けていこうと思っています。2回目は今日とは違うことをするのか、今日と同じことをするのか。でも今日と同じことをしても決して同じにはならないので、いろいろなことを提示しながら、コーヒーに関わっていきたいと思います。では、最後に、CONTEの店主・五十嵐から締めの言葉をお願いします。

五十嵐 本来、最初に考えていたのは、コーヒーバトルロワイヤルみたいな、自分はこっちでコーヒーを淹れているんですけど、自分も淹れてみたいな、家でこうやって淹れているんですけど、どうやって淹れているんですかとかそういう話ができたらいいなと思っていたんです。だけど、意外と一方通行で淹れてしまいました(笑)。この後、時間があれば、「僕淹れたい」という人がいたら、声かけてみてください。いろんな人が見てくれるので、いろんな意見が聞けると思います。それがもしかしたら、第2回に繋がることになるかもしれない。今日教えてもらった人が淹れる側に立っていたり、そういう展開があったら面白いなと思います。
CONTEは飲食店ではあるんですが、「何屋さんですか」とよく訊かれます。ご飯屋さんなのか、コーヒー屋さんなのか、こういうイベント屋さんなのか。でもこうやってみんなが集まって、一緒に感じて、一緒に考えて、次のステップに行けるような、そんなお店になれたらいいなと思っています。まだ第2回、第3回、また別のイベントもありますから、参加してもらって、いろいろ感じ取ってもらえたらありがたいです。今日はありがとうございました。

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