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坂本千明『ぼくはいしころ』原画展

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うちも猫が2匹います。どちらももともと野良猫で、『ぼくはいしころ』でいうところの、誰も気に留めない、ポツンとひとり、そこにいた「いしころ」でした。
その猫たちは、家に来たけれど、どちらも最初、人間を怖がっていましたが、お腹はとっても空いていて、ガブガブとご飯を食べました。そのうち少しずつ、声をかけると返事をしたり、ご飯を催促したり、そんな変化が嬉しく、いまではよく喋る猫たちとなりました。
猫は人間の言葉を喋らないけど、一緒に暮らす彼らの声を、言葉なき声を、いつも聞き取りたいと耳を澄ませています。なんなら一緒に会話したり。
そんな私たちの思いを(いや、何より猫の思いを)代弁してくれるような、坂本千明さんの絵本『ぼくはいしころ』原画展が終了いたしました。
お越しいただいた皆様、本当にありがとうございます。たくさんの方々に絵本の原画を見ていただくことができ、本当に嬉しかったです。

紙版画の繊細さ、原画の力強さ、黒猫の表情やしぐさ、しなやかな動き、ドキッとするような目の力。原画というのはやはり命を宿して生きているので、黒猫の「ぼく」の作品が飾られた空間は、本当に生き物が一緒にいるようで、10日間、「ぼく」とともにお客様を迎えたような気持ちでした。それがとても心強かったです。

今回、原画展を沖縄で、という私たちの希望を受け入れてくださり、実現に向けて動いていただいた坂本千明さん、そしてともに10日間を伴走してくれた「ぼく」、本当にありがとうございました。
またいつか、次の機会を楽しみにしていたいと思います。