木村華子スペシャルバンドは計7名! 先週3/20の春分の日に開催したライブは、CONTEでは最大人数のバンドでした。メンバーは、この日のために、華子さんをはじめ、沖縄在住のミュージシャンが4人と、さらに、華子さんが東京で活動していた頃からの仲間3名が来沖。ピアノ、ギター、バンジョー、コントラバス、ドラム、バイオリン、トランペット、そして鼻笛、と、ダンス&パフォーマンス(!)という、この7人のメンバーでなければ織り成せないバラエティに富んだライブの構成。
まずは、バンドの心地よいグルーヴの中、「いろんな人と出会えたらいいな 今夜」「いろんなことが話せたらいいな ここで」と、「今夜、ここ」に私たちがともにいる、そんな思いを確かめるような、オープニングに相応しい「立ち上がれ玉ねぎ」からスタート。華子さんの伸びやかに響く歌声が、今から始まる物語への誘いとなり、リズムの気持ち良さ、エビ子・ヌーベルバーグさんのバイオリンの優美な音色に、お客さんも身体を揺らし、ワクワクと高揚していくのが伝わってきました。
華子さんの美しい歌は、メロディから湧いてくる感情を誠実に伝えてきます。しっかりと歌声が物語を綴っていくというか、だから、歌の中にあるさまざまな小さな物語、人生の喜び、悲しみ、愉快さ、可笑しみを、聴き手が素直に感じとれるんです。しかも、その声の倍音の響きが明瞭で心地よく、なのに時々、とても生々しくもあって、それがグッと胸に迫ってくる、ほんとうに豊かな声なんです。だから、空間が気持ちよく揺れる。彼女の歌声だから、どこかの国の絵本の物語に入り込んだような「ワンダーランドへようこそ!」は、よりその世界を堪能できるし、「君は夜 僕は朝」のような違う時間に生きる人と人の心が重なっていく歌も表現できるのだと思います。
と同時に、華子さんの音楽にはいろんなジャンルを行き来する自由さがあって、ブルガリア民謡「エレンカ」が黄桜のCMソングに変わったり、そこにエビ子さんとタカハシカナコさんによる寸劇が入り込んで、それがまた歌につながったり、 照屋林助さん、知名定男さんによる楽曲「おしゃれなつる子」のカバーから「ラジオ体操第1」へと続くあたりは、とにかく愉快でノリがあって、エンターテイメントとしての魅力が満載。そうかと思えば、「ひつじぐも」のようにシンプルに心に染み入るように聴かせる歌もあって、楽曲によって自在に楽器編成も変えていく「ショー」としての完成度の高さは見事でした。
さらに今回のライブタイトルだった「春は来る」をタイトルとした新曲をここで発表してくれるという嬉しいサプライズも。ほんとうに待ち望んだ春の訪れ、そう、この大切な日。想いがあって、言葉が生まれて、心が動いて、歌が生まれる。そんな華子さんのシンガーソングライティングの瑞々しい発露に触れたような気がして、心震えました。
大きな拍手の中、アンコールは、沖縄の暮らす人なら一度は聴いたことがある、むしろDNAの一部になっている沖縄食糧のテーマ「お米の妖精」(そう、あの、ウェイク〜ア〜ップ!というCMソングです)! そして最後は、演者、観客、私たちスタッフもみんなでヒゲをつけての「ヒゲの海賊」。歌って踊って、楽しさは最高潮!
観客にはお子さんも多く、お子さんも楽しめるのはもちろんだったのですが、大人の私たちが、音楽が、歌が、ここに鳴り響く喜びをみんなで共有して、何よりも大人たちが嬉しそうで、ほんとうに、なんというか、最初からアンコールまで、CONTEの空間が笑顔に包まれている、そう言っても過言ではない時間だったと思います。
木村華子さんのライブを、ずっとCONTEでやってみたいと思っていた、私たちもその夢が叶った夜でした。そしてもっと華子さんの歌を多くの人に聴いてもらいたいと、気持ちを新たにした夜でもありました。
観客全員とヒゲをつけて写真を撮ったのも、初めてだったかも! ほら、大人たちがみな、楽しそうでしょ!
木村華子スペシャルバンド
are
木村華子(歌、ピアノ、ギター、鼻笛)
上地gacha一也(コントラバス)
浦崎和人(ドラム)
まきやしほ(トランペット)
エビ子・ヌーベルバーグ(バイオイン、鼻笛、コーラス)
伊藤豊(ギター、バンジョー)
タカハシカナコ(パフォーマンス)