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「種水土花(しゅみどか)」のクバのカゴに出会った時、美しいな、と、シンプルにそう感じたのが第一印象でした。素材はヤシ科のクバの葉ですが、植物とあなどることなかれ、思った以上に丈夫で、佇まいはしなやかで優しい。あ、自然から生まれたものなのだ、と、すっと受け止められる清らかさがあるんです。
プラスチックなどない時代、クバは繊維が強く水を弾くことから、もともと水を汲むためのバケツとして使われていたそうで、そこには沖縄の人々が自然を生かしながら暮らしてきた風景が見えてきます。そんな「かつて」と「いま」がつながる、自然がつくる造形美と手仕事のあたたかさが生きた、美しい暮らしの道具。それが伊平屋島にアトリエを構える「種水土花」の民具なのです。
つくり手である是枝麻紗美さんは、もともと東京でスタイリストとして活躍し、沖縄に移住後、独学で沖縄に古くから伝わる暮らしの道具をつくるようになったと言います。昔ながらの形を伝承したものだけでなく、現代の暮らしの中に合うようにと新しいデザインを施している作品もあって、部屋に置いておくだけでオブジェとしてもかっこいい。もちろん、丈夫で水にも強いクバなので、トレーやカゴは、実際に果物やパンなどを乗せたりと、実際に台所や食卓で使っていただけます。
こういう自然から生まれた暮らしの道具が、家の中にあるだけで、大きく深呼吸をしたくなる。お気に入りを、ひとつ、鉢植えの植物を置くような気持ちで、どうぞ。
